イラク情勢 Iraq situation 2003 5 7

 最近、イラク情勢について、メディアが報道しなくなりましたね。
しかし、今のイラク情勢は、イラク戦争前より、深刻な事態なのです。
 イラク情勢を見るに、注意しておくポイントがあります。
現代の独裁者というものは、選挙で選ばれてから、独裁者となったのです。
 かつて、ヨーロッパで狂犬と呼ばれた男も、選挙で選ばれているのです。
以後、世界各国では、選挙で選ばれた後に独裁者となるケースが発生しています。
 これは、制度の欠陥というより、将来の独裁者を選んだ国民の民度に問題があるのです。
民度が低いとは、国民に民主主義の教育が不十分で、国民に民主主義精神が身に付いてないのです。
 こういう国民は、生活が苦しかったり、経済が失敗すると、将来の独裁者を選挙で選んでしまうのです。
選挙といっても、芸能人の人気投票のレベルなのです。
こういう国民は、政治家の政策と、政策の結果について判断しないのです。
うまくだまされて、人気投票になってしまうのです。
しかも、国民の民度が低いので、この将来の独裁者が独裁への布石を打っても気がつかないのです。
 こういう点が民主化する時の注意点です。
また、太平洋戦争後、アメリカによる日本統治がうまくいったのは、天皇制度を維持したからです。
あの時、アメリカ軍が天皇まで倒してしまったら、日本もパレスチナ化していたのです。
占領軍は、うまく天皇の権威を利用しながら、日本統治をしたのです。
 今のイラクには、天皇にあたる国王がいません。
だから、しばらくの間、混乱は続くでしょう。
今さら、国王制度を作るのはむずかしいでしょうから、
宗教指導者を大統領にして、
大統領は、君臨するけれども統治せずという、精神的な指導者にすればいいのです。
 首相が政府を運営していけばいいのです。
首相には、シーア派がなってもよいですし、スンニ派がなってもよいですし、
クルド人がなってもよいことです。
誰が首相になるか決まらないのであれば、混乱が治まるまで、毎年、シーア派、スンニ派、クルド人で、
輪番制で首相を交代すればいいのです。
 イラクの皆さんへ。もしかすると、こう考えているでしょう。
異教徒の軍隊に負けたのは、世俗化したからである。
やはり、イスラム教の原点へ帰れと考えているでしょう。
 これはこれで正しいですが、しかし、これから時代は、
異教徒の軍隊に負けたのは、国や社会制度が近代化していなかったからである。
もう一度、西欧文明から学べるものは学び、第二の建国をしようと考えるべきです。
 かつて昔、西欧文明を取り入れて、イスラム独自の文明を築き、
その当時では、世界文明の中心となるほど、繁栄した時代があったのです。
 さて、今のイラク情勢では、遅かれ早かれ、アメリカはイラクから追い出されます。
しかし、それはそれで幸いなのです。
アメリカ軍がイラクに長く駐留すると、莫大な経費がかかるのです。
これでは、財政赤字に、経常収支の赤字、家計の赤字に続いて、イラクでの赤字と、
四つ子の赤字になってしまいます。
 イラクでの赤字は、企業で言えば、いわゆる不良債権のようなものです。
不採算部門のようなものです。
 ところで、アメリカがよく戦争をするのは、産軍複合体の影響が強いためです。
軍事産業と軍隊が結びついた存在です。この存在が戦争をやりたくなるのです。
この存在が国民を戦争へと誘惑するのです。
 こういうことを見抜けないで、戦争にうまく乗せられてしまったのは愚かです。
時代が逆戻りしてしまったのです。
それは、IT産業が興隆してきて、産軍複合体からIT産業の時代へと前進したのですが、
これは戦争による繁栄ではなく、新しい産業による繁栄で、未来への前進だったのですが、
IT技術というものが理解できない人たちには、これが自分たちの地位を脅かす存在と勘違いして、
また、復古主義が起きて、アメリカは昔に戻ってしまったのです。
 IT技術の発展について行けない人たちが、IT技術を否定して、先祖返りしたのです。
いわゆるIT難民だったのです。
そのため、自分たちの存在をアピールしたくて、復古主義というか、先祖返りしたのです。
その間に他の先進諸国では、IT産業に力を入れて国家や国民の生活にIT化を推進しました。
結局、この分野でアメリカは遅れを取ってしまったのです。
 とんだ回り道というか、道草の代償は大きいです。
これからも科学技術の進歩について行けない人たちが変なことを起こしていくでしょう。
これはアメリカだけではありません。
他の国でもよく観察してみると、意外にこういう先祖返りがあります。
先祖返りしないように注意していきましょう。